「あのお方が何者が気になりますか?」
考え事をしている私に桔梗さんが言葉を落とす声に私は考えを中止して頷いた。
「殿が一番に尊敬するお方ですよ。」
それに応えてくれたのは左近さんで、
「もしかして…」
名前を言う前に私の言葉は遮られた。
「紫衣。」
襖が開いて見送りを終えた三成が部屋に戻ってきた。
さっきまでは男性が座っていた場所に腰をおろす三成。
「おいで。」
両手を広げて私を呼んだ。
「はい。」
私は吸い寄せられるように三成の側に移動して、彼の隣に座ろうとした。
でも腕を引かれ、腰をおろしたのは彼の正面で、彼の腕にギュっと抱きしめられた。
「おやおや…。」
みんながいるのに全く気にしない三成に左近さんのからかうような声が落とされ、だけどくすくすと笑い声も聞こえた。
そして衣擦れの音が聞こえたかと思うと襖が開閉する音がして、私は三成の腕から逃れるようにして振り返った。


