襖が開いても体の大きな左近さんが目の前に立っているので部屋の中は見ることは出来なくて、
「紫衣、少し見ない間にまた綺麗になったか?」
いきなり抱きしめられて気がつけば左近さんの胸に顔を埋めていた。
「左近様、折角整えた衣装を台無しにするおつもりですか?」
呆気に取られて身動きの取れない私を救ってくれたのは朱理さん。
「悪い悪い。」
絶対に悪いなんて思ってなさそうな軽い口調で言葉を落とす左近さんは私を腕の中から解放した。
「久々に娘に逢ったんだ。少し興奮しすぎたな。」
口調は軽いけど、瞳は私に何かを訴えようとしているのか強く光っていて、何故だか私は少し不安になった。
そして部屋の奥から聞こえてきた声に体が震えたんだ。
「紫衣、迎えに来た。」
声と同時に左近さんがすっと体をずらし、部屋が目の前に広がる。
そして瞳が捉えたのは逢いたくて仕方がなかった三成の姿だった。
呆然と動けない私。
だけど瞳は逸らされることなく三成を見つめていて、嬉しさと驚きで涙が一気に溢れた。
「おいで。」
座っていた場所から立ち上がり、三成は両手を広げて私に近づいてくる。
「三成様!」
私は着物が動きにくいなんて考えもなく三成の胸を目掛けて駆け出した。
長い裾を引きずる着物を着ている私は駆け出した同時にその裾に足を取られ、そのままの勢いで体が前に倒れていく。
けれど、三成が私をシッカリ支え受け止めてくれた。


