翌朝、目が覚めると空は晴れ渡り暖かい太陽の光が差していた。
身支度を整え部屋を出ると、廊下には紅葉さんの姿。
「おはよう 。」
もしかして眠り過ぎちゃったかなって不安になりながら挨拶をすると、
「まだ寝てても良かったのに」
紅葉さんの言葉に寝坊した訳じゃないとホッと胸を撫で下ろした。
「桔梗さんは?」
「少し出掛けている。」
「?」
桔梗さんがお出掛け?
不思議に思って首を傾げる私の背中から肩にポンと置かれた手。
振り返るとニッコリと微笑む朱里さんの姿が瞳に映った。
「紫衣、よく眠れたようですね。」
「朱里さん!」
思わぬ人の登場に目を丸くする私に朱里さんはくすくすと笑い声を上げた。
「どうして?朱里さん!どうしてここにいるの?」
「お迎えにあがったんですよ。」
「?」
サッパリ意味がわからない。
「紅葉、何も話してないのかい?」
怪訝な表情を浮かべながら朱里さんは紅葉さんに話しかけた。
「何も話してない。
紫衣を驚かせてやろうと思って…。」
「あぁ、そういうこと…。」
何?
二人は納得したように会話を進めるけど私は首を傾げるばかりで、
「紅葉さん、ちゃんと教えてよ!」
唇を尖らせて抗議するも、
「楽しみは秘密にしてる方が喜びも大きくなるんだよ。」
特に紫衣みたいな単純阿呆にはなって続く言葉に私は講義した。
「また阿呆って言った!紅葉さん、酷いよ!」
「阿呆に阿呆って言って何が悪い!」
「阿呆阿呆言わないで!」
結局何も聞き出せないままいつものように言い合いを始める私たちを見て朱里さんはくすくすと笑っている。
「変わらないね。二人とも。」
優しく微笑む朱里さん。
バツが悪そうに顔を背ける紅葉さんを見て、私も恥ずかしくて床をジッと見つめた。
「さて、準備にかかりましょうか。」
モジモジとする私と紅葉さんに声を掛ける朱里さん。
準備って何?
不思議に思っていると、朱里さんに手を引かれて部屋に戻された。


