ニコリと笑いかけると桔梗さんは小さくため息を零して言ったんだ。
「負けましたよ、姫様。
なぜあなたが皆に愛されるのかわかったような気がします。」
「?」
「紅葉の気持ちもよくわかった。」
「?」
「止めるはずがまさか自分も同じ事になるなんて思いもよらなかった。」
とても綺麗に微笑みながら呟く桔梗さん。
月の光に照らされて本当に綺麗な横顔に私の目は釘付けになった。
だけど、桔梗さんの言葉は何かを悔やんでいるように聞こえる。
桔梗さんの言うとおりに出来ないから?
やはり時代が違うから皆に迷惑を掛ける考えを私は持っているのかな?
「ごめんなさい。」
私は謝ることしかできない。
だけど話したことは全て真実で、それを曲げることも出来ないんだ。
「姫様は何も悪くはないですよ。
むしろ悪いとするならば私や紅葉の方です。
貴方様を大切に想ってしまった私達の方なんです。」
少し困ったように眉を下げて話す桔梗さんの言葉に胸がチクリと痛んだ。
「私が頼りないからですよね…。
桔梗さんも紅葉さんも私を見てられなくて大切にしなきゃって思わせちゃってるんでしょう?
ごめんなさい。
本当にもっと私がシッカリしていたらお二人をそんな風に思わせなかったのに…
三成のそばにいたいって気持ちだけで実際は何も出来なくて…
情けないです。」
「ふふふ…。
姫様は本当に可愛らしい…。
そのままでいて下さい。いつまでも変わらぬ姫様でいて下さい。」
鈍くて、だけど真っ直ぐで周囲を癒やし惹きつける優しい魅力の持ち主。
紅葉の気持ちがよくわかった。
お目付役は役にたたないようです。
すみません、左近様。
きょとんと首を傾げる私にニコニコと笑いかけてくれる桔梗さん。
「さて、お部屋までお送りします。
明日もまだ移動が続きますからね。
眠れなくても床に入って体を休めて下さい。」


