桔梗さんは紅葉さんの言った言葉をとても真剣に捉えていて、私に敬意を示してくれる。
だけど、そんなの必要ない。
三成の奥方だけど私は私。
私が偉いってことじゃなく、たまたま三成を好きになっただけ。
三成のそばにいるのが私ってだけで…。
「桔梗さん、奥方様って呼ばないで下さい。」
「それは出来ません。」
「どうして?」
「恐れ多い…。」
「私は紫衣です。」
「では、紫衣姫とお呼びします。」
「姫なんて私にはもったいないから、みんなが呼ぶように紫衣と呼んで下さい。」
「いえ…それは…。」
「ダメ?」
「………。」
強引すぎるのか困ったように表情を曇らせる桔梗さん。
「いいんじゃねぇの?
頭の堅い桔梗には紫衣の言うとおりに出来るわけないよ。
紫衣姫で手を打てば?」
お互いに譲らない私達の間に入ったのは紅葉さんで、
「それより、そろそろ飯の時間だろ?
桔梗、聞いてきてくれよ。」
もう話はおしまいだとばかりに桔梗さんに指示を出した。


