走り出す馬の揺れに私は必死に馬の首に掴まるようにして体制を前屈みにすると、紅葉さんも同じ様に前に倒れてくる。
紅葉さんの息が首筋にかかり、くすぐったい。
「紫衣、お前はそのままでいい。」
耳元に紅葉さんの唇が寄せられ、囁かれた一言に体が熱くなった。
何も出来なくて迷惑ばっかりかけているのに、私はいつも紅葉さん達に大切にしてもらってる。
生きる時代の違いから戸惑いや不安もたくさんあるけど、いつもあたたかく見守ってくれるから、
「紅葉さん、いつもありがとう。」
とっても素直な気持ちになれた。
それに、桔梗さんとも絶対に仲良くなれるよね。
なぜだか確信できた。
だってね。
みんなと一緒に過ごしてきた人なんでしょう?
三成の事をとても大切に思う人なんでしょう?
その気持ちが同じならきっとわかりあえるよね。
緑の葉の間から差し込む太陽の光がキラキラと輝いている。
走る馬の上から見えるのは流れていく景色。
「森を抜けるまで走るぞ。」
とても綺麗な緑と光の織りなす景色をゆっくりと堪能してみたかったけど、
「森を抜けたら大阪はもうすぐだ。」
殿にもうすぐ逢えるぞって言葉に心臓が高鳴った。
三成に逢える。
「紅葉さん、もっと早く馬を走らせて!」
叫ぶ私に紅葉さんはくすくすと笑いながら、
「単純阿呆…。」
って口の悪さを発揮してくれたけど全然気にならないよ。
だってね。
紅葉さんもとっても嬉しそうだったからね。


