桔梗さんから離れて、
「ごめんなさい…。」
情けないやら恥ずかしいやらぐちゃぐちゃな気持ちのまま謝罪した私に、
「どこも痛くない?」
優しい笑みを浮かべながら話しかけてくれる桔梗さん。
「はい。」
川まで続く急な傾斜にゴロゴロとたくさん落ちている石。
桔梗さんに助けてもらわなかったら酷いことになったかもしれない。
想像するだけで背中に冷たい汗がつたった。
「紅葉さんもごめんなさい。」
紅葉さんに体を向けて言葉をかけると、
「阿呆紫衣…。」
お約束のように呆れた様子で言葉を返された。
そして馬を引きながら川に足を進める紅葉さん。
今度は足元に注意しながらゆっくりと彼の背中を追った。
そんな私の手を取ってくれるのは桔梗さん。
キュッと繋いだ手を握られ、彼に視線を向けると、
「紅葉ってガキだよね。」
言葉爆弾を投下した。
ガキって紅葉さんには禁句なんだよ?
めちゃくちゃ怒るんだよ?
ドキドキしながら紅葉さんの背中を見つめた。
あれ?
紅葉さん、無反応?
「あれ?」
思わず口から零れた言葉。
その一言で私の心の中を読むように桔梗さんが囁いた。
「ガキだけどガキなりに我慢を覚えたようです。」


