「緊張しなくても大丈夫!
俺は姫様を知ってるんだからね。」
ニッコリと微笑みながら話しかけられて私は首を傾げるしかなかった。
「桔梗って聞いたことない?」
「桔梗さん?」
「そう、桔梗。」
桔梗さんってもしかしてッ!
「ゆきさんと一緒に働いてた桔梗さん?」
だけど目の前の桔梗さんは男の人で、ゆきさんとお台所で仕事をしていたのは女の人だよ?
私の問いかけにニンマリと笑みを浮かべたままの桔梗さんに、
「違いますよね、ごめんなさい。
私の知ってる桔梗さんは女の人です。
正澄様の奥方様、ゆきさんの所でお仕事をさせてもらった時一緒に働いていた桔梗さんって方がいたんです。」
シュンと肩を落として俯く私。
「紫衣は間違ってない。いい加減にしろよ桔梗。」
突然声をあげたのは紅葉さんで、なんだか少し怒ってるのか声がとっても不機嫌だった。
「姫様は可愛いな。」
紅葉さんの不機嫌オーラを背中にビシビシと感じて、それでも訳がわからずキョトンとする私にケラケラと愉快そうに笑う桔梗さん。
桔梗さん、紅葉さんの不機嫌オーラに気付いてますか?
ヘラヘラとした桔梗さんを横目に私の意識は不機嫌オーラ全開の紅葉さんに向けられていた。


