なんか腑に落ちないけど、馬に乗ることに苦痛を感じなくなったのは事実。
「薬嫌いだけど、馬の移動がとっても楽になったから…ありがとう。」
ちょっぴり癪にさわるけど、紅葉さんに素直にお礼を言った。
「どういたしまして。」
だけど紅葉さんの声ではなく、突然私達の馬の横を併走するように現れた馬に跨る男の人から掛けられた声。
驚いてびくりと体を跳ねさせる私の体をギュッと抱きしめて紅葉さんは大きくため息をついた。
「心配するな。知り合いだ。」
そして体を寄せて私に話しかける紅葉さん。
「紅葉が人に優しくするところ初めて見た!」
私が紅葉さんに応えるようにコクリと頷くのと同時にその男の人からも声を掛けられた。
「うるさい!お前は!
登場の仕方ももっと考えろ!」
「突然現れるなんて格好良すぎて妬いてるのか?」
「んなわけねぇだろ!」
「どこからともなく颯爽と現れる俺って格好良いだろうが!」
「紫衣が驚いてただろ!」
「あ…あぁ。ごめんね?姫様。」
いったい何が起こったのか状況についていけない私に紅葉さんは、
「謝るのは当然だが紫衣に自己紹介してやれば?」
突然現れたその男の人に言い放ち、
「うるさい奴だけど、ここで合流する手筈になっていたんだ。
黙ってて悪かった。」
私にも言葉をくれた。
紅葉さんの言葉からすると彼は三成の側近なのだれうか。
神出鬼没な登場の仕方を思うと紅葉さんや朱里さんと同じ忍の人?
っていうか私挨拶もせずにとても失礼だ。
「はっ…はじめまして!しっ…紫衣ですっ!」
慌てて口を開くとお約束と言わんばかりに、見事に噛んでしまった。


