ぼんやりとしたまま馬に乗せられ、気がつくと私は馬の揺れが全く気にならなくなっていた。
「あれ?あれれ?」
「なんだよ阿呆紫衣。」
「なんかね?気分悪くないよ?」
「そりゃそうだろう。」
「どうして?私ってすごい順応力の持ち主なのかな?」
脳天気に応えると紅葉さんはため息をつきながら、
「団子に薬を混ぜてもらった。」
応えてくれた。
「薬?!」
驚く私に紅葉さんはケラケラと笑い声をたてる。
「飲まないだろ?」
「混ぜたって何?」
「そのままだけど?」
「私、知らずに薬飲んじゃったの?」
「そういうこと!」
「なんで?何?何?」
「あーっ、うるさいな!どうせ薬飲めって言っても飲まないだろうと思って椿に頼んだ。」
面倒臭そうに応える紅葉さん。
美味しいってペロリと平らげた団子。
その中に薬が混ぜられていたなんて…
「酷いよ!紅葉さん!」
「仕方ないだろ?
お前、薬嫌いだって飲まないし…
それに気分良くなっただろうが!」
怒るより感謝してもらいたいくらいだよって紅葉さんは強く言い放つ。
悔しいけど、紅葉さんの言うとおりだから私は何も言い返せなかった。
「別に毒を盛ったわけじゃねぇんだからさ。」
「あ、当たり前だよ!」
くくっと喉を鳴らしながら話す紅葉さんに私は声を荒げた。


