「わぁ、綺麗ですね。」
カラカラと瓶に入った金平糖を揺らし音を鳴らす私の頭上から落ちてくる声。
「うへ?」
思わず間抜けな声をあげてしまった。
「阿呆だ…。」
私の声にため息混じりに言葉を掛けるのは紅葉さんで、
「うるさい!」
恥ずかしさを感じた私は最初に掛けられた声の主を確かめる事もせず紅葉さんに言葉を返した。
紅葉さんって私に阿呆阿呆って言い過ぎなんだもん。
「仲がいいんですね。」
くすくすと笑う声と一緒に落ちてくる言葉。
金平糖を綺麗だと言って私に声を掛けてきた人が私と紅葉さんに話しかけていた。
「別に…。」
「顔が真っ赤ですよ、紅葉さん。」
愛想悪く応える紅葉さんに、その人はからかうような言葉を掛けた。
お茶屋の店員さんだよね?
紅葉さんの知り合い?
2人の様子をきょとんとしたまま見つめる私に、その人は優しく微笑んで教えてくれた。
「私は椿と申します。
今は茶屋で働いてますが、私も紅葉と同じで左近様に仕える忍でございます。」
こっそりと耳元で話される椿さんの言葉に私は目を見開いた。
そんな私の様子に椿さんはくすくすと笑い声をたて、紅葉さんは呆れた顔で、
「間抜け面…。」
呟いたんだ。
「以後お見知りおきを…」
耳元で囁き茶屋の仕事に戻る彼女の後ろ姿を呆けたように見つめながら、
「綺麗な人…」
呟く私に紅葉さんは意地悪な笑顔で言ったんだ。
「椿も男。」
「うぇ?!」
「変な声出すな!」
「え?…えぇ?」
驚く私を呆れ顔で睨みながら紅葉さんは懐からお金を出してテーブルに奥と、そのまま立ち上がり私の手を強引に引きながら店を出た。
「またのお越しをお待ちしております~。」
背中に掛かる椿さんの楽しそうな声。
どうやら彼女…彼も紅葉さんと同類なんだろうなって思った。
ちょっぴり意地悪を楽しんでる?


