シュンと肩を落として紅葉さんを見ると、意地悪な表情ではなく何故だか微笑んでいる。
「ごめんなさい。」
口の中に団子が入ったまま話すなんて行儀の悪い事をして落ち込みながら謝る私の額を紅葉さんは掌でサワサワと撫でながら言ったんだ。
「姫らしくはないけど紫衣らしいな。」
どういう意味?
「それって誉められてるの?貶されてるの?」
間髪入れずに言葉を返すとくすくすと笑いながら
「両方だけど?」
ニッコリ笑顔で返された。
「姫らしくなくて悪かったわね。」
「だけど紫衣らしいって誉めたじゃないか。」
「私らしいって何?
誉められてる気にならないよ。」
「紫衣が美味しそうにお菓子を頬張る姿が殿はお好きなんだぞ?」
「私が食いしん坊みたいな言い方やめてよ。」
「あれ?
食いしん坊じゃなかったのか?」
「う…」
確かにお菓子に目がなかった私。
何も言い返せなくなった私に紅葉さんは
「殿が自身で紫衣の為に金平糖を買ったのには俺も驚いたんだ。」
「へ?」
「覚えてないのかよ…」
金平糖のお土産、覚えてないわけがない。
小さい子供から姿を変えて不安だった私にくれた金平糖。
私が400年の時を越えた事を信じてもらうきっかけになったのも金平糖だった。
「覚えてるよ。」
だってね、大切な金平糖。
何も持たずに来るようにと言われたけど金平糖は持ってきている。
「私の宝物なんだよ。」
巾着袋から取り出して紅葉さんの目の前に差し出した。
瓶に入った色とりどりの小さな粒。
三成にもらった大切な金平糖。


