馬に乗るのはこの時代に来てから2回目になる。
「気分悪くない?」
いつもとは違う優しい紅葉さん。
「うん、大丈夫だよ。」
以前左近さんに乗せてもらったときのように私が前に乗り、私を支えるように紅葉さんが後ろに乗っている。
馬に乗るときに何度も後ろでいいって言ったのに私が前の方が安全だからと強引に前に乗せられた。
背中を支えるように紅葉さんの胸が密着している。
手綱を持つ手も私の体の横にあり、全身を紅葉さんに守られたような体勢がとても恥ずかしく感じた。
「紫衣がおとなしいと調子狂うんだけど?」
肩に顎をのせて話す紅葉さん。
「うひゃッッ」
紅葉さんとの密着度が更に増して私は妙な声をあげてしまった。
「なんか緊張してるの?やっぱり馬が怖い?」
私の声にくすくすと笑いながら話す紅葉さん。
紅葉さんとくっつきすぎて恥ずかしいなんて言えなくて、
「馬って揺れるんだもん。」
馬が怖くて緊張してるって勘違いしている紅葉さんに話を合わせた。
「馬は揺れるものなんだよ。」
呆れたような口調の紅葉さん。
だけどとてもゆっくりと進んでくれている。
私が怖いって何度も言ったからだろう、すごく丁寧に馬を操ってくれている。
「この先に茶屋があるから休憩出来るよ。
それまで少し我慢しろよ。」
ほんと、どうかしちゃったのって聞きたくなるような紅葉さんの優しさに驚きながらも心地よさを感じた。
肝心な時はいつも優しく私を守ってくれる紅葉さん。
「美味しいお団子食べたいな。」
本当は緊張しすぎて何も食べたくないけど紅葉さんの心遣いに応えるように言葉を返した。


