勢いよく吐き出した言葉は彼の地雷だったようで、真っ赤に染まる紅葉さんの顔。
そんな顔したら私まで恥ずかしくなってきちゃうよ…。
だけどすぐにいつもの紅葉さんに戻って彼はニヤリと笑って言ったんだ。
「紫衣じゃ欲情することなんてないから安心してろ!」
「どういう意味よ!」
「そのままだけど?」
余裕の笑みを浮かべる紅葉さんにフツフツと怒りがこみ上げた。
「紅葉さんのバカー!
嫌いなんだからぁー!」
側にあったお饅頭を投げつけて抗議する私をくすくすと笑い声を立てながら紅葉さんは部屋を出て行った。
パタリと閉まる襖の先から紅葉さんの声が聞こえる。
「良かったな紫衣。
もう寂しくないな。」
優しく響く紅葉さんの声。
「ありがとう紅葉さん。」
私も襖越しに彼に声を掛けた。
遠ざかる足音を聞きながら私は紅葉さんにもう一度お礼を言った。
寂しさを紛らわせてくれたのはいつも紅葉さんだった。
左近さんも朱里さんもいない城の中で唯一頼れるのは紅葉さんだった。
だから何かと理由をつけては私と一緒に過ごしてくれた。
紅葉さん、ありがとう。
紅葉さんもよかったね。


