着物を着せてもらってから私は左近さんと一緒に馬に乗って隣村に向った。


この時代の紫衣ちゃんの家を訪ねるためだ。


馬の上はとても高く初めての経験にとても緊張した。


「ちゃんと掴まっていろ。」


そうは言われてもどこに掴まっていいのかわからない。


左近さんは私を後ろから抱えるように支えてくれる。


手綱は左近さんが持っているため私の目の前には馬の頭があるだけ。


たてがみに掴まってもいいの?


馬が怒ったらどうしよう...。



考えている間に「跳ばすぞ。」という左近さんの声が聞こえてきたかと思うと見る見る世界が流れていった。



すごいスピードに私は無我夢中で馬のたてがみを掴んだ。


馬が怒るかどうかなんてまるで考える余裕なんてなかったんだ。



「わー!!」だか「ひゃー!!」だか奇声を上げている間に馬はグングン走る速度を上げていった。



もう叫び声も上げることができないくらい疲れ果てグッタリとした頃に隣村が見えてきた。