なによ!
自分だって一瞬呆けてたくせに!
だけど本当に嬉しそうな紅葉さんを見てると私も一緒に嬉しくなった。
「いつ出発するの?」
「俺はすぐにでも出立したい。
紫衣は?」
「わ、私ッ??」
「俺は準備なんてほとんどないけど紫衣はそんな訳にはいかないだろ?」
「うん…そ、そうだね。いつがいいかなぁ」
スッカリ忘れてた。
文には紅葉さんに連れてきてもらうようにって書いてあったんだ。
あんまり紅葉さんが嬉しそうだから自分のことは忘れちゃってた。
誤魔化そうとして言葉を返しても紅葉さんにはお見通しだと言われているような視線を浴びせられ、
「本物の阿呆だな。」
おまけに溜め息混じりにひどい言葉を吐かれた。
「紅葉さんがあんまり喜ぶからでしょ!
私も一緒に嬉しくなっちゃったんだもん!」
「それで殿の言葉を忘れたのか…」
チクチクとうるさーい!
「自分だって嬉しすぎて私に抱きついたくせに!」


