これでゆっくりと読めるとほくそ笑んで広げた文に視線を落とした。
最後まで目を通し終わった文を握りしめ私は体が震えだした。
えーと…
待ってる?
待ってるって書いてある?
「紅葉さん、私、目がおかしいのかな?」
おずおずと文を差し出す私を一瞥して、
「紫衣がおかしいのは頭だろ?」
いつものように憎まれ口を叩く紅葉さん。
だけど彼も文を持つ手が震えている。
「紅葉さん?」
声を掛けても彼は私には無反応で文をじっと凝視していた。
「紅葉さん!」
さっきより強い口調で呼びかけると彼は私をぎゅっと抱きしめた。
「きゃっ」
なに?
どうして?
彼の腕の中で固まる私に彼は、
「やったぞ紫衣!
俺も殿のお側に行ける!」
ぎゅうぎゅうと締め付けるように抱きしめながら歓喜の声を挙げた。
「く…く…るし…」
息も出来ないくらいに苦しくて私は途切れ途切れに紅葉さんに訴えながら背中をトントンと叩いた。
「あ、悪い。」
パッと離れる紅葉さん。
心なしか頬がピンクに染まってる?
「酷いよ!紅葉さん!
苦しかったんだからね!」
いつもの調子で紅葉さんに文句を言う私に紅葉さんは俯いたまま何も言わなかった。
そんなに嬉しかったのかな?
三成を崇拝する紅葉さん。
その三成に待ってるなんて言われたら堪らなく嬉しいに違いない。
「良かったね。紅葉さん。」
床の上に落ちた文を拾い上げながら話しかける私に、
「紫衣はやっぱり阿呆だな。」
いつもの調子で紅葉さんは言葉を落とした。


