寂しさを募らせた心があたたかくなった。
生まれた時代や生きた環境の違いから感じていた疎外感。
それがみんなとは少し違う形でも同じだと思える。
関係のない何も知らない紫衣を巻き込んだのだという罪悪感もほんの少しだけ和らいだ気がした。
「私はお兄ちゃんの側で生きていたの?」
紫衣とお兄ちゃんは今、寄り添って生きている。
入れ替わらなければ私はお兄ちゃんと出逢っていたの?
「水害でお前は助かるはずだった。」
水害、水の中を流されて私は両親とはぐれた。
「だがお前は俺の所に辿り着いた。
俺が導いたのではないが何か不思議な力がそうしたのだろう。」
「あの空の不思議な世界に私が導かれなければ私はお兄ちゃんには出逢わなかったの?」
「お前は空の上で俺に逢わなければ左近に水口の城に連れて行かれ、水口城主の石田三成と出逢っていただろう。」
「紫衣のように?」
「そうだ。すまない…」
「そう…。」
私が空の上の不思議な世界に導かれなければ、紫衣と入れ替わることはなかった。
お兄ちゃんと寄り添い生きるのは私だった。
「良かった。」
心の底から思える言葉だった。
私の言葉に怪訝な表情を浮かべるお兄ちゃんに笑いかけながら言葉を綴った。
「私はお兄ちゃんを支えきれなかった。
だからお兄ちゃんはずっとずっとあの不思議な世界で苦しんでいたんでしょう?」
「そうではない。」
「私はお兄ちゃんを助けることが出来ないんだよ。」
「違う。」
苦しそうに歪められたお兄ちゃんの顔。
だけど、私は自分の思うままを言葉にした。
「関ヶ原で勝利出来なかったお兄ちゃんの無念を繰り返しちゃいけないんだよ。
私はお兄ちゃんの勝利の女神じゃなかったんだ。」


