「今日は不思議な人物に出逢う日だな。」
きっと私と同じ事を考えていたのだろう、佐和さんが呟くように言った。
お兄ちゃんが消えてしまうのを阻止しようとしていた緊迫した空気が左近さんが現れてからは無くなっていた。
だからだろう。
私も佐和さんも頭の中は左近さんの事を考えていたんだ。
お兄ちゃんの側にずっと仕えていた左近さん。
ズバズバとお兄ちゃんに意見するその姿は家臣と言うよりはお兄さんって感じに見えた。
左近さんの巧みな言葉攻めに何も言い返せずに眉間に深い縦皺を寄せるお兄ちゃんを見ていると、
「まるで嶋田さんと佐和さんを見ているみたいね。」
自然と口を割って出た言葉に私は三人の視線を一気に集めてしまった。
じっとりと不服そうな視線を向けてくる佐和さんとお兄ちゃん。
その視線から逃れるように顔を逸らすと豪快な左近さんの笑い声とくすくすという女の人の笑い声が響いた。
「殿は転生しても左近様には勝てないのですね。」
「朱里!うるさいぞ!」
芽衣ちゃんにとってもよく似た朱里さん。
その話し方までよく似てるからびっくりだ。
「全員揃っているのですよ。」
「いつでも私達は殿のお側におりますよ。」
「いい迷惑だ。」
順に左近さん、朱里さんの優しい声が掛けられ、照れているのかお兄ちゃんは素っ気なく言葉を返していた。
きっと二人は何度も転生を繰り返しながらお兄ちゃんを待っていたんだ。
そんな気がした。
佐和さんとお兄ちゃん。
嶋田さんと左近さん。
芽衣ちゃんと朱里さん。
それに私と紫衣も?
繋がっているの?
「私と紫衣は?
みんなと同じ様に繋がってるの?」


