「時を同じくして出逢うなんて皮肉だな。」
ポツリと零れたお兄ちゃんの言葉。
池には紫衣が映っていた。
そして、良君に似た誰か…。
部屋に一人でいる紫衣に近付くその人を紫衣は俯いたまま顔を見ていない。
だけどその人が紫衣の前に腰をおろすと顔を上げた紫衣は、
「良…君…。」
そう呟いて、驚きのあまり凝視している。
そして男は名乗ったんだ。
「俺の名は加藤清正」と…。
佐和さんと一緒に暇を見つけては紫衣がこの時代に生きた時と同じように図書館で二人が生きた道を探した。
加藤清正。
慶長4年
関ヶ原で合戦が起きる一年前の1599年。
清正は大阪の石田屋敷を襲撃し、お兄ちゃんの命を狙った人。
その結果、お兄ちゃんは佐和山へ蟄居することになり翌年には関ヶ原の合戦が起きた。
そんな人と良君が繋がっているだなんて…
「嫌よ。イヤーーッッ!」
取り乱してはいけないと思っていた。
でも、残酷なその事実を受け止めきれない私は大声で叫んでいた。
どうして?
何が足りないの?
お兄ちゃんが幸せになるために何をすればいいの?
こんなのってないよ。
ただ幸せになりたいだけなのに…。
どうしてうまくいかないの?


