夢を見ると言った良君。
彼の言葉がぐるぐると頭を駆け巡る。
時代を渡っても手に入れたい愛。
今の私にはわかりすぎるその言葉に膝がガクガクと震えだした。
もしも良君の言うとおり時を越えることが出来たら彼は紫衣をどうするつもりなの?
お兄ちゃんは?
紫衣は?
いったいどうなってしまうの?
「謝るのは紫衣じゃない俺の方だ。」
いつの間にか私の隣に立つお兄ちゃんは私の頭を優しく撫でてくれる。
「お兄ちゃんは悪くない!」
「諦めることをしなかった俺が皆を巻き込んでしまった。」
「そんなことない!
そんなの違う!」
お兄ちゃんの足に腕を回して縋りついた。
お兄ちゃんがとても苦しそうで、そのまま消えてしまいそうな気がしたんだ。
「紫衣、すまない…俺は…。」
私の腕を掴んで引き離すとお兄ちゃんも私の横に膝をついた。
そして私を抱き寄せてくれた。
悲しそうなお兄ちゃん。
儚くて今にも消えてしまいそう。
「私は巻き込まれたなんて思わない!
お兄ちゃんが好きなの。それに佐和さんに出逢えたわ。
芽衣ちゃんにも嶋田さんにも出逢えたの。」
だから私は幸せなのよ。
私をちゃんと見て!
巻き込んでしまったなんて悲しいこと言わないでよ!
祈るような気持ちでお兄ちゃんに言葉を紡いだ。
「私はここに来て、この時代に生きる今がすごくすごく幸せなのよ。」


