真剣に、そして少し苦しそうに話しかけられて私は頷くことしか出来なかった。
「先に聞いてもいいかな?」
「はい。」
「紫衣は泣いてた?」
「?」
「俺には見せないようにしていたけど、俺は紫衣を泣かせてただろ?」
「………。」
なんて応えていいのかわからなくて言葉につまる私に、
「あの時のそのままで応えて欲しいんだ。」
俺が傷つくとか気にしないで欲しいって言われて私は良君の問いかけに正直に応えた。
「電話が減ってからは紫衣はいつも悲しそうだった。
良君と電話を切った後も芽衣ちゃんと話した後もよく泣いてました。」
「あの時、俺がもっと紫衣を優先していたら俺達は離れることはなかったのかな…。」
震える良君の声。
きっと彼は後悔しているに違いない。
あの時、紫衣が苦しんでいなかったら私は紫衣を導いただろうか…。
お兄ちゃんの為だからと悲しむ人がいるということを考えただろうか…。
わからない――…。
わからないよ…。
「紫衣は幸せなのか?」
良君の言葉に私は応えられなかった。
なんて応えるのがいいのかわからなかった。
本当は紫衣が誰とどこで生きるのが幸せなのかなんて私にはわからない。
紫衣が今、何を思っているのか
誰を想っているのかなんて私にはわからないんだ。
やはり…
私はとんでもなく重い罪を犯したのかもしれない――…。
そう思うと体の震えが止まらなくなった。


