これが普通の反応だ。
佐和さんに話したときや芽衣ちゃんと嶋田さんに話したときとは違う。
だけど良君の反応が特にキツい訳じゃない。
そう思うけど…
そう思ったのに、恐怖に飲み込まれそうだった。
紫衣を返せって言われても私にはどうすることも出来ないんだもん。
良君は眉を中央に寄せて何かを考えてるのか、怒っているって様子には見えなかった。
だから怖いという感情はほんの少しだけど薄れていた。
時折目を伏せて、まるで瞑想に耽っているようにも見える良君。
「良君?」
わずかに残る恐怖心を押し殺し私は良君に声をかけた。
自分ではシッカリと声を出したつもりが、実際はとても掠れた小さな声しか出てなくて聞こえたかどうか心配になった。
だけど、良君にはちゃんと届いたみたいで、
「ん?」
視線と一緒に声が返ってきた。
その反応がとても普通で…。
普通すぎるからかえって戸惑いを感じた私は一瞬で頭が真っ白になり、何を話したかったのかすらわからなくなった。
「あの…。」
「どうした?」
「………。」
「俺の話も聞いてくれる?」
「え?」
「紫衣じゃないって言われたのに女々しくてごめん。
だけど聞いて欲しいんだ。」
「私でよければ…。」
「俺と紫衣を見てたって言ったよね?
紫衣の気持ちを一番近くで感じてただろう人に聞いて欲しいんだ。
だから君に話したい。」


