小さく震えだす手を膝の上でぎゅっと握りこんだ。
良君に話さなきゃいけない。
紫衣を奪ったことを、私は良君の好きだった紫衣じゃないって事を。
あの日、良君にさよならをした卒業式の日は私だったことを話したら良君は怒るだろうか…。
芽衣ちゃん達のように私の話を信じてくれるだろうか…。
ふるふると小刻みに震える手、その手を包み込むように佐和さんの手が重ねられた。
「あのッッ!
どうして良君はここにいるの?」
一通り挨拶というかじゃれるような芽衣ちゃんとの会話を終えた良君に話しかけた。
「ん?紫衣に逢いにきたんだよ。」
「え?」
約束…してなかったよね?
きょとんとする私に良君は、
「突然で悪かった。」
節目がちに応えたんだ。
突然だったんだ…。
だけど、どうして佐和さんと逢ったの?
「俺から話そうか。」
お互い言葉を失った私達に佐和さんが話し始めた。
私を送った後、嶋田さんに呼び出されて大学に車を回した佐和さんは芽衣ちゃんと嶋田さんと一緒にいる良君に逢った。
そして、私がここに来るまで良君と佐和さんは二人でずっと話をしていた。
経緯を簡単な教えてくれた佐和さん。
「芽衣ちゃん、知ってたんだ。」
「うん、ごめんね。」
先に謝られたら何も言えないよ…。
「俺が、芽衣ちゃんに口止めしてたんだ。」
黙り込む私に佐和さんは言葉をかける。
どうして?
どうして佐和さんが芽衣ちゃんに口止めなんかしたの?
尋ねたいのに私の唇は固く結ばれて開こうとはしなかったんだ。


