だけど二人は振り向かずに歩き続け、入り口に向かって足を進める。
不服に思うけれどついて行かないわけにはいかないということは私にだってわかるから、
「待って!
おいてかないで!」
二人の後を追うように足を早めた。
「どうぞ。」
ドアを開け、私と芽衣ちゃんに先に入るように促す嶋田さん。
少し大袈裟に見える彼の仕草に、
「あら、ありがとう。」
芽衣ちゃんもいつもの彼女らしくない余裕な態度でドアをくぐる。
「失礼します。」
だけど私に同じような態度は取れず、俯きながら呟くと嶋田さんは小さく噴き出していた。
「紫衣ちゃんは素直な反応だね。」
ニッコリ笑って私の頭を撫でる嶋田さん。
「芽衣ちゃんみたいに余裕の態度を取れなくても少しくらい胸をはって石野の所まで行って欲しいな。」
「どど、どうしてですか?」
嶋田さんの言葉の意味がわからずに焦る私の耳元で、
「そりゃ良君に二人には隙がないって思ってもらうためだろ?」
囁かれた。
そっか!
確かに嶋田さんと芽衣ちゃんの息はぴったりで、
だけど…
私に芽衣ちゃんのように出来るかなんて全く自信はなく、
「ががが頑張ります!」
意気込みすぎて見事にどもってしまった。
そんな私をいつの間にか迎えにそばに来ていた石野さんは嶋田さんに近寄ると何かを耳打ちしていた。
ボソボソと早口で何を言ってるのか全くわからなくて、だけど石野さんは私の手を取って歩き出す。
彼に引かれて足を動かすと、窓際の席に一人座る良君。
私より先に行った芽衣ちゃんは通路を挟んだ隣の席に座っていた。
後ろからついてくる嶋田さんは芽衣ちゃんのいるテーブルの向かいの席へ、石野さんと私は良君と向かい合わせになるように席についた。


