勝利の女神になりたいのッ!~第1部~



綺麗にネイルされた長い指。

ベージュが大人を匂わす。

絡め取るように繋がれた手。


「佐和さん…ベージュのネイルの人と逢わないで…。」


「紫衣?」


「嫌です。2人っきりはダメです。」


「どうした?」


「ごめんなさい。」


「紫衣?何があったんだ?」


「……………。」


ポロポロと零れ落ちる涙。

本当は声を上げて泣きたいくらいに悲しいけど…

必死で声が洩れないように堪えた。


「ちょっと!そんなんじゃ石野さん訳わかんないでしょ?!」


涙を流しながら何も話せなくなった私の手から携帯が奪われた。


「石野さん、芽衣です。
今大丈夫ですか?」


佐和さんと話す芽衣ちゃん。


「きっと紫衣の勝手な妄想です。
私がさっき少し意地悪言っちゃったんですよ。」

芽衣ちゃんが石野さんに何を伝えたのか私には理解できないまま電話は切られて、


「今から嶋田さんが迎えに来てくれて石野さんのいるところに連れて行ってくれるって。」


告げられた言葉にも私は反応できなかった。