不在着信には必ずメッセージを残す佐和さん。
複数の着信履歴にメッセージは一件も残されてなかった。
本当に何かあったのかもしれないと不安に思いながら私は発信ボタンを押した。
佐和さんとお揃いで設定した優しい声のラブソング。
いつもならその音楽が流れると気持ちがとても落ち着くのに今はその音が心をざわつかせた。
佐和さんも何度も今の私と同じ気持ちでその音楽を聞いたのかと思うと申し訳ない気持ちになった。
繰り返し流れる音楽。
もう無理かなって諦めて携帯を耳から放そうとして、
「紫衣?」
佐和さんの声が聞こえた。
「佐和さん!」
「悪い、音が聞こえなかった。」
「…………。」
佐和さんの声に混じって聞こえてくる騒がしい声。
佐和さん家にいないんだ…。
「どうした?」
何も話さない私にかけられる佐和さんの少し心配そうな声。
「……………。」
「紫衣?」
頭の中にはベージュのネイルの女の人が浮かんでいた。
佐和さん!
嫌ッッ!
大人な女の人と逢ってるの?


