「殿を呼んでくる。」
立ち上がる紅葉さんの着物の裾を掴んで、
「待って!宴の邪魔はしたくないの!」
必死で叫んだのに紅葉さんの冷たい視線に体がすくんだ。
「じゃぁ何があったか話せよ。
ゆっくりでいいから話してくれ。」
私に向かい合うように座ってから掛けられた言葉はいつもの紅葉さんの言葉。
様子もさっきとはちがって柔らかくなった。
だから私はことの経緯をゆっくりと話した。
「清正の奴!」
話を聞き終えると憎々しげに清正の名前を呼んで立ち上がった紅葉さんは私に手を差し出した。
「殿には後で自分で話せ。
黙っていられることではない。
後は殿の判断だ。」
「私、そんなに大変なことをしちゃったの?」
「紫衣じゃない、清正がな。」
「仲悪くならないかな?」
「今更だし…。」
紅葉さんに手を引かれ、部屋を出た後、
「話はここまでだ。」
ぴしゃりと話を打ち切られた。


