俯き顔を上げれない私の前にドカリと腰を落としたその音で跳ね上がる心臓と同じ様に顔を上げた。
目の前に座る男。
「良…君……。」
なんで?
どうして?
私の目の前には逢うことなどない人の姿があった。
「顔に何かついておるか?」
あまりに凝視する私を頬を擦りながら話しかける男。
良君よりは年上だということはわかるけれど、良君にそっくりで驚きを隠せなかった。
「いえ…すみません。」
まじまじと見入るなんて失礼な行動をまずは謝った。
だけどびっくりした!
本当に良君かと思った。
いるわけないのに…
それに、もう動揺することもないのに…
知ってる人に逢うはずなんてないって思っていたから、
ただ、単純に驚いた。
「うた殿、俺の名は加藤清正。」
清正?
加藤…清…正…?
「え??」
もうこれ以上早く動くはずのないくらい激しく脈打つ心臓が更に加速する。
清正?
あの清正なの?


