どどどどどうしよう!
紅葉さん!
心の中で紅葉さんを呼んでも仕方ないのに私は状況についていけず何度も紅葉さんを呼んだ。
開け放たれた襖に目を向けると男の人の姿があり、だけど逆行になっていて誰なのか確認なんて出来ない。
こんな時どうすればいいの?
顔は隠さなきゃダメ?
御簾越しの対面って戦国時代にも必要?
頭の中は考えても答えなんて出ない事がぐるぐると回り続け、私は唖然としたまま動けなかった。
「うた殿か?」
「はい。」
問いかけにかろうじて返事だけは返せた。
ノシノシと近寄ってくる男。
大きな体に本当に足音がノシノシ聞こえる。
人は熊に遭遇したらきっとこんな風に固まったまま動けないんじゃないかなって関係のないことを思い浮かべる頭に意外と冷静なのかもと考えていた。


