部屋から出て行く紅葉さんの背中は哀愁が漂っていて、
「頑張ってね。」
思わず声を掛けた。
襖を閉める手を止めて私を見る紅葉さん。
「主役は紫衣だけど、俺がいることで紫衣が霞んで見えるだろうね。」
なんの腹いせか、嫌味を置き土産に部屋を出て行った。
もしかして八つ当たりですかー?
もしかしなくても八つ当たりですね?
でもあたってるだけに言い返せない。
くぬぉー!!
紅葉さんなんて正則にいっぱいセクハラされちゃえーー!!
裾さばきの練習なんてそっちのけでドスドスと床を踏みしめ、紅葉さんを呪ってやった。
だけど、紅葉さんとのやり取りで極度の緊張はとけた。
緊張しなくなくなった訳じゃないけど、緩和はされた。
もしかして、これか紅葉さんの狙いだったのかな?
いつも通り、何も変わらない紅葉さんに私は助けられたのかな?
そんな風に考えると、さっき思いっきりセクハラされちゃえって呪ったのをひどく後悔した。


