しばらく三成と2人の時間を過ごした。


何度もお互いを確かめ合うようにキスをして見つめ合った。


「そろそろ時間だ。」


三成の言葉に緊張が高まる。


今から私は紫衣ではない。

三成の正妻、うたとして宴に出席する。


体を固くする私に、


「側にはずっと俺がいる。」


私の手をぎゅっと握りしめてくれる三成。


私は軽く頷いて彼の手に引かれ立ち上がった。


「そろそろお時間です。」


襖の向こうから声がかけられ、大きく襖が開いた。


「ふむ。」


軽く返事をする三成に私は手を引かれたまま廊下を歩く。


着物の裾を片手で持ち上げてしずしずと歩く私に後ろからついて歩くのは紅葉さん。


艶やかな着物に身を包み、すっかり妖艶な女姿に化けた紅葉さん。


「殿、奥方の手は私が。」


私の後ろを歩いていた紅葉さんは、するすると歩きながら私の横に追いついた。


「よい。」


けれど三成は紅葉さんの言葉をはねつけるように言葉を返す。


「奥では何をしても構いません。ですが!」


困った様子の紅葉さんに私は着物の裾から手を放して紅葉さんに手を差し出した。


長い着物の裾はバサリと廊下に広がり足を止める私とそんな私を冷たい目で見下ろす三成。


怒ってますね?

早速怒らせちゃいましたね?


だけど、気付かないふりをして紅葉さんに視線を向けたまま彼を見ないようにしたんだ。