お兄ちゃんの幸せしか考えてなかった私。


ただ、守りたいとだけしか思えなかった私。


良君の気持ちを考えたこともなかった。


そんな浅はかで身勝手な私に神様が教えてくれているの?


身勝手な考えの


身勝手な行動の


戒め――…。




だから逃げるわけにはいかない。


「芽衣ちゃん、電話掛け直して欲しい。」


鳴り止んだ着信音。


きっと良君は連絡を待っているはず。



私の携帯に良君の番号は入っていない。


大学の合格のお祝いに新調してもらった携帯は新規で契約した物だから。

良君も私には連絡が着かないんだ。


「ダメだよ…。
私、出ないから…
これからも絶対に出ないから!」


心配掛けてばっかりだね私…。


瞳を潤ませて話す芽衣ちゃんに私は、


「良君にも話をしなきゃいけないの。」


シッカリとした口調で話すことが出来た。



佐和さんがいるから…

お兄ちゃんがいるから…

私の罪を話さなきゃいけないから…


「良君にちゃんと謝らなきゃ。」


言い切る私に戸惑う芽衣ちゃん。


だけど、それが…

そんな考えが間違ってたなんて、その時は思わなかったんだ。