好きだよ、紫衣――。


耳の奥で何度も繰り返し聞こえる言葉。


触れる唇も指先も思い出す度に体がカッと熱くなる。


もっともっとの気持ちを我慢するって今みたいな状態なのかなって漠然と思った。


心臓だって昨夜からずっとドキドキというか時にバクバク?ってくらい激しく動いて、壊れちゃうんじゃないかって何度も思った。


「シャワー浴びておいで、紫衣そのまま寝ちゃっただろ?」


佐和さんに促されて今私はシャワーを浴びている。


着替えは芽衣ちゃんが持ってきてくれていた。


急に泊まることになって、昨夜あのまま寝てしまわなかったら困ってただろうなってどうでもいいことを考えていた。


それに、嶋田さんは着替えどうしたのかな?


嶋田さんも着替えなんて持って行ってなかったよね?


ぬるめのシャワーは体の火照りを取ってくれる。

スッキリとした頭と体になって私はシャワーを終えた。


シャワーを浴びる前に佐和さんが渡してくれた真っ白なバスタオルで体の水滴を丁寧に拭い、芽衣ちゃんから渡された紙袋から着替えをゴソゴソと取りだそうとしたら小さな紙ががヒラリと床に落ちた。


私はその紙を気にとめることなく着替えを優先させて、まずは下着を紙袋の中から探し出した。


「ふぎゃッッ!」


出てきた下着を手にしたまま、まるで猫が尻尾を踏んづけられた時のような声が漏れて慌てて口を押さえた。


私のじゃない下着。


そう言えば紙袋を受け取るときに、

「心配しなくても新品だからね。」って

芽衣ちゃんが言ってたような気がする。


この下着のことだよね?

だけど新品とかって問題はそこじゃなく…


色も形も、私が今までつけたことがない下着なんだけど…


かといってつけないわけにはいかなくて、その下着を恐る恐る身につけた。


普段使ってる下着より生地が薄くて心許ない。

というか、下着としての機能を果たしていることになるんだろうかって思ってしまう。


だって、透けてるよ。