彼の言いたいことがわからない私は困惑し、落ち込んだ。
そんな顔ってどんな顔?
隠さなきゃならないほど酷い顔をしてるんだろうか…。
「殿、我娘をお返し下さい。」
「駄目だ。」
「話くらいさせてくれても良いではないですか。」
左近さんの言葉に一喝して退けようとする三成にぶつぶつと言葉を落とす左近さん。
何か大切な用事なら申し訳ないと三成の腕をトントンと叩いた。
なのに三成は私を抱きしめる腕に力を込めて、
「駄目だ。」
左近さんに言った言葉を再度繰り返す。
むぅ――…。
酷い顔をしてるかもしれないけど左近さんは私のお父さんなんだから。
この時代に迷い込んだときからずっと一緒にいてくれた人なんだから。
小さい体の時は一緒に布団で眠ったり…
とにかく!
大切なお父さんなんだからッ!
「離して下さい。」
彼の腕を振りほどいて左近さんと顔を合わせる。
すると左近さんは私の顔を見てから三成に、
「そういうことでしたか。」
ニヤリと笑いながら話しかけた後部屋から出て行った。
襖越しにまた後程と左近さんの声を聞くと足音が部屋から遠ざかっていく。
「馬鹿紫衣。」
襖を唖然としたまま見つめる私の耳朶を甘噛みした後囁かれた言葉。
馬鹿?
甘い言葉ではなく何故に馬鹿?


