浅い溝ならば無くしてしまいたい。
深い溝ならば少しでも埋めてしまいたい。
同じ人に仕えているのだから最後に分かつような事を避けたい。
朱理さんは静かに話してくれた。
三成と清正、正則の違いを淡々と話してくれたんだ。
「血気盛んで武こそが力と思っている二人は前に出て華々しく活躍されています。」
ご存知ですか?と聞かれて私は頷いた。
秀吉が仕えた織田信長の死後、対立した柴田勝家との合戦、賤ヶ岳。
事実上、信長の後を受け継ぐのは秀吉だと知らしめる合戦だった。
その賤ヶ岳の合戦で有名になった七本槍と呼ばれる武将七人。
その内の二本は清正と正則だ。
賤ヶ岳では先駆隊として三成も武功をたてたと言われるが七本槍に名前は残ってはいない。
前線で戦い武勲を挙げるというよりは縁の下の力持ち的な存在だった。
戦に必要な弾薬や兵糧の輸送や補給の面で活躍したのだ。
決して目立つ存在ではなかったはず、だけど大切な役割を緻密に計算し行動出来る三成を秀吉は高く評価していたはずだ。
「正反対なのですよ。」
朱理さんの小さな呟きに状況を読みとることが出来た。
もうすでに溝が深まっているということがわかったんだ。


