唖然としたまま部屋に取り残されてしまった。
「紫衣、大丈夫?」
襖越しに声を掛けてくれるのは朱理さん。
「朱理さぁぁん。」
襖を開けて朱理さんに飛びつくとギュッと抱きしめてくれた。
朱理さんはちゃんと教えてくれるよね?
味方だよね?
縋るような思いで彼女を見つめた。
「捨てられた子猫みたいな目をして…。」
手を引かれて部屋に入ると朱理さんは襖の横に置いていたお茶とお菓子ののった盆を持って部屋に入り、襖を閉めた。
「念のためと声を掛ける前に盆を置いて正解だった。」
ニッコリと笑いながらお茶とお菓子を勧めてくれる。
確かに朱理さんが盆を持っていたら飛びついた拍子に大変な事になったのかもしれないなって考えながらお茶を一口飲んだ。
「このお饅頭、とっても美味しいんですよ。」
私の前に差し出されたのは花の形をしたお饅頭だった。
「可愛いー。」
「ふふ…。
お客様用のお饅頭だけどコッソリ頂きましょう。」
お客様?
お客―――ッ!!
「朱理さん、どうなったんですか?
機嫌悪くなるんですか?機嫌とりって何のことですか?」


