紅葉さんを睨みつけた瞳はうるうると潤んでいた。
紅葉さんの姿もぼんやりと揺れている。
だけど涙は零さずにぐっと堪えたんだ。
「紫衣、話すんだ。」
笑い声をあげていた左近さんの真剣な声と私を包む優しい腕のぬくもり。
「左近さん?」
ギュッと私を抱きしめる左近さん。
「紫衣はいつもうなされてるんじゃないのかい?」
「どうして…」
知っているのと続く言葉を遮るように朱理さんは話したんだ。
「私と紅葉は忍だよ。
屋敷の見回りも私らの仕事なんだ。」
朱理さんの話で左近さんの腕に力が込められる。
「一人で背負うには重すぎる荷物も何人かに分ければ楽になるだろう?」
諭すような、それでいてとても優しい左近さんの声に堪えきれずに涙が溢れた。
「阿呆紫衣、俺達はお前に心配されるほど落ちぶれちゃいねぇよ。」
言葉は乱暴なのに私の肩を優しくポンポンと叩く紅葉さん。
「せっかくのお化粧が崩れてしまいますよ。」
手拭いを手にソッと握らせてくれる朱理さん。
豊臣の奸臣。
野望家、策略家と歴史に名を残す三成。
だけど、こんなにも愛されているんだね。


