その反応に芽衣ちゃんは目を細めて視線を合わせた後、私の肩をポンと叩いて部屋から出て行った。
えっと…
私はどうすればいいの?
芽衣ちゃんが教えてくれたことを実行したいけど、肝心の佐和さんは?
部屋のドアの前に唖然と立ったままの私の耳に嶋田さんと芽衣ちゃんの声が聞こえてきた。
「紫衣の思い込み?はちゃんと溶けてるから、もう大丈夫ですよ。」
「それじゃあ、気を取り直して映画に…。」
「あッッ!それはダメッッ!」
「なんでだよ。」
「なんででも、ダメなものはダメなのッッ!」
嶋田さんと芽衣ちゃんの声に驚いて部屋から出た私の視界に飛び込んできたのは耳をぐいぐいと引っ張りながら嶋田さんを引きずるようにして玄関に向かう芽衣ちゃんの姿だった。
目を潤ませて痛い痛いと言いながら引きずられる嶋田さん。
2人の姿に佐和さんは口をポカンと開けたまま動けずにいた。
「芽衣ちゃんッッ!」
自分の靴を履いて嶋田さんの靴を脇に挟むように抱えて、耳から手を放すことなく玄関のドアノブに手を伸ばした芽衣ちゃんを思わず呼び止めてしまった。
いったい何がどうなって今の状況なのかが全くわからない。
芽衣ちゃんはたまにビックリするような行動を取ることがあるけど、呼び止めたのは初めてだ。
嶋田さんがあまりにも痛そうにしているから声を掛けずにいられなかったんだ。


