「紫衣、目を閉じて。」
芽衣ちゃんに言われた通り瞼を下ろすと彼女は私の耳元で囁いたんだ。
「石野さんとのキス思い出して。」
「なッッ!?」
「言うとおりにして!」
恥ずかしくて反論しようと口を開いた私にピシャリと芽衣ちゃんの言葉が遮った。
キス
キス
佐和さんと口づけ…。
「幸せな気持ちになるでしょう?
愛しくて、もっと近づきたくなるでしょう?」
頬が熱い。
恥ずかしい…
だけど、恥ずかしさと同じくらい幸せだと感じる。
愛しいという想いが溢れてきて、もっともっと彼に触れたいと思う。
「紫衣、目を開けて。」
瞼を持ち上げると芽衣ちゃんの満面の笑みが瞳に映った。
「もっともっとって気持ちわかった?」
コクリと頷く私に芽衣ちゃんは更に笑みを深くして言ったんだ。
「石野さんも同じだよ。もっともっとって想う気持ちを鎮めるためにお祈り?してたの。
我慢っていうのはもっともっとの気持ちを抑えることなんだよ。」
そして私をギュッと抱きしめた。
もっともっとの気持ち。
愛しくて欲張りになる気持ち。
私にもわかる。
けど…、
「お祈りしたら欲張りじゃなくなるの?」


