「紫衣はそのまま、体の力を抜いて深呼吸してごらん?」
頭をユルユルと撫でてくれる佐和さん。
彼に頭を撫でられると安心するんだ。
「怖くないよ、怖くないから…」
彼の掌のぬくもりと彼の声に私の体から力が抜けていく。
自然に瞼を閉じていた。
「紫衣、最後の仕上げにもう少しつき合ってな。」
耳元で囁く彼の言葉を聞いて瞼を持ち上げるとニマニマといたずらっ子のような表情の佐和さんが瞳に映った。
その時だった。
ドアのむこうからガタンと物音が聞こえたんだ。
それからヒソヒソと話す人の声。
「どうしよう…。」
「ヤバいな…。始まっちまったかな…。」
ハッキリ聞き取れる訳じゃないけど芽衣ちゃんと嶋田さんだよね?
佐和さんは私から離れて足音を立てないように部屋の入口に近づきノブにソッと触れたと同時に勢いよくドアを開け放った。


