私の言葉に紅葉さんの表情が少し硬くなったのがわかった。
「ねぇ、紅葉さん。何を考えているのか話してくれなきゃわからないよ?
私に出来る事ならちゃんと頑張るから..だから話だけでも聞かせて?」
「ほんっとに強情な奴...。」
そう言って私を見る紅葉さんの瞳はとても優しかった。
うんざりしているような言葉とは全然違う優しい表情。
「そんなのわかってることじゃない。」
安心した私はいつもの調子で紅葉さんからツンと顔を逸らせて言葉を落としたんだ。
「名前のことな、俺の勝手な考えだから話すのやめようと思ったんだ。」
「紅葉さんの勝手な考えって?」
それから紅葉さんは名前の話について詳しく聞かせてくれた。
三成の奥さんは秀吉の側室になったことは世に知られていない。
「だから俺は奥方様の名前を名乗っていたんだ。」
「なんて名前なの?」
三成の奥さんの名前は確か宇多頼忠の娘で皎月院、三成には「うた」と呼ばれていたと読んだことがある。
「うた。」
「やっぱり!!」
「はぁ?」
「あっ!なんでもない...。」
「変な奴だな...。まぁいいその奥方様の名前、お前どう思う?」
「どうって?」
「嫌いか?」
「別に何も思わないよ?」
歯切れの悪い紅葉さんの言いたいことが私には全くわからなかった。
いったい奥さんの名前がどうしたっていうの?


