その日、三成が帰ってくるという紅葉さんの言葉に胸を踊らせていた私。
だけど彼は帰ってこない。
この時代は闇が深い。
夜になるとろうそくの優しい灯りが部屋を照らす。
いったい今は何時なんだろう。
三成は何時に帰ってくるんだろう。
「紫衣、起きてるのか?」
襖越しに掛けられる紅葉さんの声。
こうやって声を掛けられるのは何度目だろう。
「起きてます。」
幾度となく繰り返される紅葉さんとの襖越しの会話。
少しうんざりしていたんだ。
「早く寝ろ。」
この言葉も耳にするのは何度目?
紅葉さんに言葉を返さずに私は襖をガラリと開け放った。
急に襖が開いたことに一瞬だけ驚いた様子を見せた紅葉さん。
「寝ろって言ったよな?」
だけどすぐに不機嫌な言葉が落ちてきた。
「聞いたよ。」
眠れないんだから仕方ないじゃないって言葉は飲み込んで、そのまま紅葉さんの隣に座った。
「お前なんで着替えてないんだよ。全く寝る準備出来てないんだな。」
呆れたような紅葉さんの声に私はニッコリと笑顔を浮かべるだけ
「痛ッッ!!」
そんな私の額を人差し指で弾いて紅葉さんは言ったんだ。
「反抗期かよ!」
ケタケタと笑い声を立てる紅葉さん。
私は額を押さえて涙を浮かべたまま紅葉さんを睨みつけた。


