勝利の女神になりたいのッ!~第1部~



その日、三成が帰ってくるという紅葉さんの言葉に胸を踊らせていた私。

だけど彼は帰ってこない。


この時代は闇が深い。


夜になるとろうそくの優しい灯りが部屋を照らす。


いったい今は何時なんだろう。

三成は何時に帰ってくるんだろう。



「紫衣、起きてるのか?」


襖越しに掛けられる紅葉さんの声。


こうやって声を掛けられるのは何度目だろう。



「起きてます。」



幾度となく繰り返される紅葉さんとの襖越しの会話。



少しうんざりしていたんだ。



「早く寝ろ。」



この言葉も耳にするのは何度目?


紅葉さんに言葉を返さずに私は襖をガラリと開け放った。



急に襖が開いたことに一瞬だけ驚いた様子を見せた紅葉さん。


「寝ろって言ったよな?」


だけどすぐに不機嫌な言葉が落ちてきた。



「聞いたよ。」



眠れないんだから仕方ないじゃないって言葉は飲み込んで、そのまま紅葉さんの隣に座った。


「お前なんで着替えてないんだよ。全く寝る準備出来てないんだな。」


呆れたような紅葉さんの声に私はニッコリと笑顔を浮かべるだけ


「痛ッッ!!」


そんな私の額を人差し指で弾いて紅葉さんは言ったんだ。



「反抗期かよ!」


ケタケタと笑い声を立てる紅葉さん。



私は額を押さえて涙を浮かべたまま紅葉さんを睨みつけた。