紫衣...。
し...い...。
お兄ちゃんをお願いね....。
紫衣ちゃんの声を聞いた。
ここは大阪、三成の住む石田邸。
大阪に着てから三ヶ月が過ぎていた。
今は上洛してくる上杉家の迎え入れの準備の為に三成はほとんど家には帰ってこない。
「寂しいですか?」
いつものように朱里さんとお菓子を食べながら話す午後。
彼女と一緒にお茶を飲みながらお菓子を頂きお話をすることが毎日の日課のようになった。
「寂しくないって言ったら嘘になります。だけど...心配のほうが強いんです。」
「殿をですか?」
「はい。無理をされているんじゃないかと思うと体が心配です。」
「殿はお幸せですね。紫衣にこんなに思われて...。」
彼女との会話も少し仰々しいものになってしまった。
私が三成と結ばれてからは左近さん以外は私に様をつけて呼び出したんだ。
必死でお願いをしていつもの通りに呼んでもらっているが会話が以前のような気さくなものではなくなった。
そんな中、変わらないのは紅葉さんだった。
私は彼にとてもすくわれているのかもしれないと考えるようになっていた。
それを三成も見越していたのかもしれない。
普段通りの紅葉さんはとても憎たらしいけれど、彼のそんな憎まれ口に救われているのも確かだ。
ムカつくのは同じだけど...。
「何を考えているのですか?」
「いえ...。」
よそよそしい朱里さんの言葉がとても切ない。
私は何も変わってないのに...。
ただ三成を好きになっただけ。
彼の側にいたいと願っただけ。
そして、その想いが彼に通じただけ...。
それだけなのに...。


