勝利の女神になりたいのッ!~第1部~



「こんな話信じられるか?」


「信じられるよ。あなただって私の話、信じてくれたでしょう?
あなたは...どうして私を信じてくれたの?」


「理由なんてない、紫衣だから信じられた。」


「だったら私も同じ、あなただから、佐和さんだから信じられる。」




お腹に触れる彼の大きな掌、何度も私の頭を撫でてくれるあたたかい掌。


その掌にそっと自分の手を重ねた。


小刻みに震える手をギュッと握った。



「紫衣に見せたいものがあるんだ。」


彼は私をギュッと抱きしめてから私の体を解放した。


彼の体が離れた背中が寒い。


あたたかかった彼の体。


ずっと包まれていたい...。


そう思うのは欲張りなのかな?



「行こう。」


石野さんは私の手を引いて歩き出した。


電灯のついた公園の中を奥に進み続ける石野さん。


彼は何も話さなかった。


奥に進むにつれ木がうっそうと生い茂り視界が悪くなっていく。


「もう少しだから足元気をつけて。」


きっと一人だと気味が悪いだろう、でも石野さんと繋がった手が私を安心させてくれる。


石野さんがいるだけで怖いなんて感じないから不思議だ。




木の間から見えるのは微かな月の光。


今日は新月。


頼りない月の光に照らされた池が目の前に現れた。