「こんな話信じられるか?」
「信じられるよ。あなただって私の話、信じてくれたでしょう?
あなたは...どうして私を信じてくれたの?」
「理由なんてない、紫衣だから信じられた。」
「だったら私も同じ、あなただから、佐和さんだから信じられる。」
お腹に触れる彼の大きな掌、何度も私の頭を撫でてくれるあたたかい掌。
その掌にそっと自分の手を重ねた。
小刻みに震える手をギュッと握った。
「紫衣に見せたいものがあるんだ。」
彼は私をギュッと抱きしめてから私の体を解放した。
彼の体が離れた背中が寒い。
あたたかかった彼の体。
ずっと包まれていたい...。
そう思うのは欲張りなのかな?
「行こう。」
石野さんは私の手を引いて歩き出した。
電灯のついた公園の中を奥に進み続ける石野さん。
彼は何も話さなかった。
奥に進むにつれ木がうっそうと生い茂り視界が悪くなっていく。
「もう少しだから足元気をつけて。」
きっと一人だと気味が悪いだろう、でも石野さんと繋がった手が私を安心させてくれる。
石野さんがいるだけで怖いなんて感じないから不思議だ。
木の間から見えるのは微かな月の光。
今日は新月。
頼りない月の光に照らされた池が目の前に現れた。


