「俺さ、三成が好きなんだ。というか...命の恩人?とか思ってる。」
おかしいだろ?なんていいながらハハハと乾いた笑い声が聞こえる。
「お兄ちゃんを知っているの?」
「紫衣に話したいって思ってた。ずっと話したかったんだ。
だけど話すのが怖くて今まで話せなかったんだ。」
「それは....。」
言葉を掛けようとする私に彼の腕の力が込められる。
微かに震えている彼の体。
背中には彼の鼓動の振動も伝わった。
「俺の半身は三成のものだ。」
ふいに掛けられた彼の言葉を理解できなかった。
「え?」
「黙って聞いて...。」
そして石野さんは自分の生まれたときの話を教えてくれた。
お医者様も諦めた石野さんの命。
奇跡によって吹き返した息。
「親父の奴さ、何度も言うんだよ。奇跡だって。
その言葉を聞くたび重くて俺は逃げてたんだ。」
奇跡の子供。
その言葉が自分を縛り付けていたって悲しそうに石野さんは言ったんだ。
「前に佐和山で話しただろ?よく来るって。
俺はあの場所に行くと三成に逢えるような気がするんだ。」
「お兄ちゃんに?」
「そうだ、夢の中で俺は三成と話した。
ずっと悔やんでいたんだ、悔やんで悔やんで苦しそうな三成を見て俺も苦しかった。
俺も生まれたことを悔やんでいたから...。」
石野さんの言葉は悲しい...。
「生まれたことを悔やむなんて悲しいこと言わないで。」
ポロポロと零れ落ちる涙は私の体に巻きつく石野さんの腕に落ちていく。
「紫衣の涙はあたたかいな...。」


