固まったまま動かなくなった体。
私の背中にピッタリとくっつく石野さんの体温が熱い。
首筋にかかる彼の吐息が熱い。
「石野さん?」
「佐和だろ。」
「.....。」
彼はどうしても私に名前を呼ばせたいらしい。
何度も何度も注意をされる。
慣れない呼び名に緊張しちゃうし恥ずかしい。
だからだよ。
だから呼べないんだ。
だけど石野さんは許してくれそうにない。
「佐和って呼んで...。」
熱の篭った声で私の首筋をくすぐるように言葉を落とすんだ。
「佐和さん...どうかしたんですか?」
「どうもしない..ただ、」
間髪入れずに彼は言葉を落とす。
だけどその言葉は続かなかった。
本当にどうしたの?
なんか石野さん..少しいつもと違う。
「なぁ、紫衣。
...........今でも三成が好きか?」
突然のことで頭が回らない。
お兄ちゃんが好き?
そんなの好きに決まってる。
お兄ちゃんの幸せだけを思って私は時代を渡ってきたんだ。
そんなの....決まってるじゃない。
だけど私は応えられなかった。
どうしてだか言えなかったんだ。
「どうしてそんなこと聞くんですか?」
気がつけば私が石野さんに聞いていた。
でも石野さんは何も言ってくれない。
静かな公園に広がるのは静寂。
騒がしいこの世界にも時に訪れる静寂。
今のこの静寂はとてつもなく重い.....。


