その日は結局近くのお店で食事を取ることになった。
それでも、そのお店の料理はとても懐かしいものがあって嬉しかった。
古い小さなお店。
おばあさんがひとりでお店を切り盛りしている。
出てくる料理も魚の塩焼きや煮物が中心で、私の口には懐かしさが広がったんだ。
芽衣ちゃんと暮らすようになって洋食?と呼ばれる物を口にする事が多くなったが実際には飽き飽きしていたのかもしれない。
最初は珍しく、美味しいと感じていたんだけどな…。
「たまにはこういう素朴な料理も美味しいだろ?」
そうっ!素朴!
いくら美味しくても手を加えすぎた料理ではなく素朴な料理。
それが私の暮らした時代の料理だ。
「はい!!とっても美味しいです。」
弾けるように言葉を返すとクスクスと笑う石野さん。
興奮しすぎだよね?
私は勢いよく答えすぎた自分を恥ずかし思って俯くしかなかった。
食事を済ませた後近くの公園で足を止める石野さん。
フラフラと公園に入っていく石野さんに私は着いて歩いた。
「ここ、一人でよく来るんだ。」
そう言ってベンチに腰をかけた石野さんは立ったまま動けない私に手を差し伸べてくれる。
石野さんの掌に自分の掌を重ねると私の手は石野さんの大きな掌に覆われた。
そのままグイッと引っ張られて座ったのは石野さんの膝の上。
「キャッ」
慌てて立ち上がろうと足に力を入れると私のお腹にある石野さんの腕にグッと力が込められて引き寄せられた。
「放して下さいよー!!」
恥ずかしさの余りじたばたと動く私をギュッと抱きしめて首に顔を埋める石野さん。
そして彼はその首筋で言葉を落としたんだ。
「そのまま、このままで聞いて欲しいことがあるんだ。」


