料理が出来ないなんて、石野さんにガッカリされちゃうかな…。
どうにもマズイ展開に私の頭は停止したまま動かなかった。
「紫衣、料理出来ないんだろ?」
なんだかちょっぴり意地悪な言い方の石野さん。
笑顔もニコニコというよりはニヤニヤしてる。
「出来るよ!出来るもんッ!」
ただ…
今の料理が出来ないだけ…。
ここに来る前の、自分の時代の料理は出来る。
ただ…
この時代にはそぐわないかもしれないけど。
弾けるように言葉を返した後俯いて考え込む私の頭をクシャクシャと撫で回して石野さんは声を立てて笑った。
「ごめんな。嘘だよ。」
石野さんはケラケラと笑いながら話している。
「わかってて…酷いですよ。」
涙ぐんで答える私の耳元に石野さんの唇が触れた後、彼は囁くように言ったんだ。
「紫衣が可愛いから苛めたくなるんだ。」
内容はよくわからなかったけど可愛いと言う言葉に私の心は素直に反応した。
真っ赤であろう顔を彼に見られたくなくて益々顔を上げることが出来なくなったんだ。


