降ってくるのは彼の唇。
もう何度となく受け止めた彼の唇。
「ん...んふ...。」
洩れるのは甘い吐息と甘い声。
「紫衣...。」
「石野さん...。」
互いの名を確かめ合うようにして口にすると石野さんの動きが止まった。
「佐和。」
キョトンと首を傾げて彼を見ると、彼は苦笑いを浮かべたままもう一度その名を口にした。
「佐和。」
「佐和さん?」
戸惑いがちに口にする彼の名前。
「今はそれで合格かな?」
クスリと笑いながら彼が口にした言葉に頬が熱くなった。
顎を持ち上げられ彼を見上げるようにして視線が合った。
恥ずかしさから逸らそうとする私の頬を彼の両手が優しく包み込んでいた。
近すぎる彼の綺麗な顔にどうしていいのかわからず、目をキョロキョロと動かす私に彼の瞳は大きく開かれた。
驚いたような彼の表情。
何かしてしまったのかと急に寒くなった。
目を合わせない私に怒ったのだろうか...。
石野さんの背中にまわる自分の手をギュッと握りしめて拳を作った。
嫌われたくない。
石野さん、お願い嫌いにならないで...。


